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《一般演題 Ⅱ》

座長 : 山口和也(ちば県民保健予防財団)

(​第3会場 9:20~ 9:55)

発表時間は6分で質疑応答時間は2分です

​時間厳守でお願いします 

1)超音波健診で経験したvon Meyenburg complexの2例

   阿部弘之¹⁾,服部敬¹⁾,秋山なぎさ¹⁾,岡村薫¹⁾,近藤洋一¹⁾、

   安倍光司¹⁾,藤森夕貴¹⁾,米本紗陽子¹⁾,神保りか²⁾,矢嶋由紀²⁾,

   常吉秀男²⁾,武藤泰彦³⁾,小川眞広⁴⁾

   1)東都文京病院放射線科  2)東都文京病院内科、

   3)東都文京病院外科    4)日本大学病院内科

【はじめに】Von Meyenburg complex(以下 VMC)は比較的稀な疾患であり、門脈域グリソン鞘周囲の嚢胞状拡張、胆管増生と繊維性間質からなる良性の過誤腫性病変である。本疾患は自覚症状がなく、臨床的に異常を引き起こすことはないが超音波画像上、慢性肝障害や転移性肝腫瘍との鑑別が問題となることが報告されている。今回我々は超音波健診においてのVMCの2例を経験したので文献的考察を加え報告する。

【症例1】40代男性、超音波検査Bモード所見では肝臓全体に大小の嚢胞性腫瘤と高エコースポット及びコメットライクエコーを観察した。縦走査による肝臓の表面、裏面は整、肝下縁は鋭であった。その他胆管の拡張等異常所見は認められなかった。CT検査では肝臓内に数ミリ前後の低吸収領域が多発集簇して認められた。

【症例2】50代男性、超音波Bモード所見では肝臓にびまん性に小さな高エコー結節が観察された。明らかな嚢胞性病変やコメットライクエコーは認められず、肝実質が不均質なため要精査となった。腹部MRCPでは両葉に大小不同のびまん性の嚢胞性病変でVMCと診断された。【考察】VMCにより形成される小嚢胞は肝両葉にびまん性にみられるが基本的には顕微鏡的な嚢胞性病変であるため必ずしも超音波検査で嚢胞と認識されないのが特徴である。無エコーの嚢胞性病変が描出されずに多重反射のためのコメットエコーのみが所見として取り上げられることが多い。今回コメットライクエコーも描出されない症例を経験し、この場合には本疾患とその他のびまん性肝疾患との鑑別が困難となることを経験した。検診従事者にとって本疾患の理解が必要であると考え報告をした。

 

2)胆嚢腺筋腫症に併発した胆嚢癌症例

   永井 悟(湘南藤沢徳洲会病院 臨床検査部)

【はじめに】近年、超音波画像の進化にて胆嚢腺筋腫症のRAS、壁在結石の検出も多くなり、併せて腺筋腫症に合併する癌の報告もみられます。今回当院にても超音波が診断に有効であった併発症例を他画像と検討したので報告します。

【症例】70代 女性、既往歴、高血圧、子宮体癌手術後、スクリーニングCTにて胆嚢壁肥厚指摘にてエコー依頼。

【ラボデータ】2016/ 9/ 2

WBC  5000  /μl      AST  17  IU/ l    Amy       53 IU/l

RBC  459  万/μl       ALT  9 IU/ l   CRP      0.35 ㎎/dl

Hb   13.8  g/dl        LDH  147 IU/ l     CEA      2.7 ng/ml

Ht  42.3 %        ALP 223 IU/ l     CA19-9   551.4 U/ml

PLT   26.4  万/μl     γ-GTP   20 IU/ l    DUPAN-2   32 U/ml

【CT】

2016/ 4/ 9 慢性胆嚢炎?の診断。

2016/ 9/ 2 胆嚢炎または癌も疑えるが、変化はなさそうとのコメント。

【MRI】

2016/ 9/ 5 胆嚢腺筋腫症疑い

【US】

2016/ 9/ 2 胆嚢腺筋腫症、胆嚢癌併発疑い

【結語】胆嚢腺筋腫症に併発した胆嚢癌症例を提示しました。胆嚢壁の評価では超音波が非常に有効であると思われます。

3)膵管内乳頭粘液性腫瘍に合併した膵癌の1例

   服部有子¹⁾,富山宏美,美濃可織,小野里恵,関根厚雄²⁾,

   加藤公則,土屋嘉昭³⁾,塩路和彦⁴⁾

   1)新潟県労働衛生医学協会 新津成人病検診センター

   2)新潟県労働衛生医学協会 医局

   3)新潟県立がんセンター新潟病院

   4)新潟県立がんセンター新潟病院 内科

【はじめに】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は、膵癌の高危険群として知られているが近年IPMNに合併する膵癌の報告も見られる。今回、人間ドックの超音波検査でIPMNに合併した膵癌を経験したので報告する。

【症例】50代女性。平成10年より当会一日人間ドック受診しており、H24年からUSにて軽度の拡張膵管を描出したが、その他、膵臓に異常所見を指摘できていなかった。

【超音波検査】H28年に膵体部から膵尾部にかけて明らかな主膵管の拡張を伴った多房性嚢胞性腫瘤を膵体部に認めたほか、頭側の主膵管閉塞を来した充実性腫瘤を指摘し精査となった。

【術後診断】IPMNを伴った膵癌、亜全胃温存膵頭十二指腸切除術(SSPPD)が施行され、ステージはT3N1ⅡB、術後の病理診断は高分化型管状腺癌であった。

【経過】化学療法を行い、膵尾部とIPMNは温存して、経過をフォローすることとなった。

【考察】症例は、過去のUS画像を振り返るとわずかではあるが、徐々に膵管が拡張しており、また、膵管壁の拡張形態も不整であるように思われた。膵癌の高危険群として、主膵管の拡張と嚢胞の存在が注目されており、膵管壁の形態に注意するとともに膵管が拡張した時点で精査できていれば、もう少し早い段階で発見できたかもしれないと反省すべき点があった。またIPMNに膵管癌が合併することもあることを念頭に入れ注意深く検査することが必要である。

4)経時的変化を考慮した主膵管経の計測について

   片山和弥¹⁾,村松和美¹⁾,大波加美和子¹⁾,松本直樹²⁾,小川眞広²⁾,

   五ノ井渉³⁾

   1)医療法人社団 せいおう会 鶯谷健診センター 検査チーム

   2)日本大学病院 消化器肝臓内科

   3)東京大学付属病院 放射線科

【方法】対象者は30名のボランティアの男女、年齢は25歳~60歳。

対象者であるボランティア30人に対して超音波診断装置を用いて主膵管の計測を実施した。計測に要した時間は60分、計測方法は仰臥位にて主膵管を描出させ、5分間隔でコンベックスプローブとリニアプローブによる主膵管経を計測、途中、脂肪食品を摂取させ、主膵管の計測に変化が生じるかを調査した。

 【結果】今回実施した主膵管経の計測において、計測経は最大2倍の有意差が認められた。空腹時と脂肪食品を摂取後では、有意差は認められなかった。

また、年齢における主膵管経の計測においての計測経は、25歳~50歳の年代においては、有意差は認められたが、50歳以上の年代においては、有意差は認められなかった。

 【考察】今回の試みから、経時的な変化を念頭においた主膵管経の計測が重要であると再確認した。

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