《イブニングセミナー》
大腸内視鏡挿入法入門
講師 : 軽部友明(軽部病院)
(第1会場 15:50~16:55)
大腸内視鏡挿入法を学ぶときにほとんどの先生方は軸保持短縮法を基本的な挿入法として教わるであろう。丁寧に腸管を短縮しながら、腸管とスコープの軸を合せてスコープを押した分スコープ先端が進むような状態を保ちながら深部挿入しなさいと。そして無理に腸管を伸ばすようなことはしてはいけないと教わるはずである。では、どうすれば腸管を短縮できるのか?どうすれば軸を保持しながら挿入できるのか?腸管を伸ばさないように挿入するにはどうすればよいか?それを教えてもらえる先生は全国でも少数派の部類に入るのではないだろうか。今回のセミナーでは、その方法を理論的にそして具体的な操作法として言語化し説明したいと思う。しかし基本的な挿入理論を知ったところで実際の現場でうまくいくかといえばそうではない。実際の挿入法各論が重要なのである。そこで今回は挿入のパターン化という考え方を説明したい。挿入をパターン化するためにはオリエンテーションを意識する必要がある。まず最も重要でかつわかり易い目印は左結腸曲(LCF)である。そこを境に前半戦と後半戦に分けて考える。後半戦は比較的ワンパターンな挿入が可能でありダウンアップ法という挿入法を紹介する。前半戦ではS状結腸の挿入が肝となる。しかしS状結腸にはオリエンテーションをつけるための解剖学的目印が存在せずパターン化が難しい部位である。そこでS状結腸の最初の強い屈曲、後半に出現する右下展開となる屈曲を意識することで目印のないS状結腸の中でオリエンテーションをつけることが可能となり前半戦の挿入をパターン化することができる。オリエンテーションを間違えると、症例ごとに行き当たりばったりの挿入になってしまい挿入法を身につけるのに多くの症例数が必要になってしまう。今回はパターン化された挿入法の重要なポイントを動画を交えて説明する。これから大腸内視鏡検査を始める先生方には、このセミナーを聞いて挿入法をマスターするための近道を勉強してもらいたい、また指導者の先生方にも理論的、具体的な挿入方法を理解していただき明日からの指導の一助として頂ければ幸いである。